サグパット村の主な収入源はサヨテ(ハヤトウリ)の栽培です。サヨテは”グリーン・ゴールド(緑色の金)”と言われるほど、山岳地方では換金作物として人気があり、広く栽培されている作物です。しかし買取価格の変動が激しいため農家の収入は不安定であり、また、サヨテの単一栽培による病害の大発生などが問題となっています。そして、サヨテ畑は、山の斜面を切り拓いて作られるため、森林破壊、土壌流出などの環境問題を引き起こしています。
サグパット村では、アグロフォレストリー栽培の手法の一つとして、サヨテの下でのコーヒーを育てています。サヨテ栽培を続けながら、コーヒーの木が土壌を守り、またコーヒーが新たな収入源にもなります。またサヨテはコーヒー栽培に必要な日陰をもたらし、コーヒーの成長を助けるので、まさに一石二鳥です。
事業終了後の取り組み
キブンガン町での森林再生事業は2007年3月に終了しましたが、事業終了後も村人たちはコーヒー栽培に熱心に取り組み、その成果として2009年にキブンガン町のコーヒー豆を日本へ輸出することができました。これがCGN最初のフェアトレード・コーヒーでした。コーヒー栽培とともに、村人たちは苗木場で苗木を育て、村内でコーヒーやその他の木の植樹を続けるとともに、苗木の販売が新たな収入源ともなっています。
2008年には、キブンガン町サグパッドの村人たちはSagpat Young Farmers' Organization Inc. (サグパット・ヤング・ファーマーズ団体)を設立。若い農民を中心に、コーヒーの有機栽培だけでなく、その他の作物も有機栽培へと転換する活動を続けています。
また、2013年2月には文京学院大学環境教育研究センターのスタディーツアーグループがキブンガン町のサグパット村を訪問し、農家でのホームステイを通して、コーヒー栽培や山岳地方の暮らしについて学び、村人との交流を経験しました。(ツアー参加者の感想文はこちら)
サグパッド村でのコーヒー生産量は順調に伸びていますが、同時に害虫や病気などの問題も出てきています。CGNでは、日本人コーヒー専門家・山本博文氏を講師に招き、品質向上のための収穫後の加工技術のトレーニングとともに病害虫対策の指導もしています。
生産量が増加し始めたことを受け、フェアトレード認証の取得を目標に掲げ、2017年度には京都のNPO法人フェアプラスとフェアトレードショップ「シサム工房」による持続可能なコーヒー生産のための講習会シリーズが開催されました。(講習会のレポートはこちらのフェアプラスのブログで)。
2019年度はさらに栽培量を増やしたいという生産者の要望を受け、CGNが主体となりイオン環境財団の助成を受け植林事業を行いました。アラビカ・コーヒー5,695本、トゥアイ2370本、アルヌス1,400本の計9,465本が、サグパット農業組合(Sagpat Farmer Agriculture Cooperative = SFAC)のメンバーによって植樹されました。このプロジェクトの一環として、2019年11月には、持続可能なコーヒー栽培であることの指標として野鳥観察をするためのワークショップも開催されました。