<インターン 山本佳波>
「フィリピンでカフェを始めたい」というアメリカ人と、カフェ・スタッフになるフィリピン人と一緒にアトックのコーヒー農園の見学に行きました。
アトックは、バギオからは1時間半程で到着できる、比較的近いコーヒー農場。
が、しかし。道のりは険しいです。ひとつの車が通るのがやっとくらいの道のりをどんどん進んでいきます。今回は途中で対向車線の車が故障中の様子。そのため、途中でジプニーを降りて軽いハイキングをしながらコーヒー農家へ。
これもまたフィリピンの山の中ならではのよい体験です。
そして歩くこと数十分後、どうにか道を抜けてきたジプニーに再び乗り込み、なんとか到着。
案内してくれたのは笑顔の素敵なアシュリンさん。
彼女の農場や、マニラのコーヒー店からのサポートで作ったというコーヒー豆を乾かすための施設などを見せてくださいました。
コーヒーの木はサヨテ(フィリピンでとれる瓜のような野菜)と共に植わっていました。
ほかの植物と一緒に育てられるところがコーヒーのいいところ。
このように、様々な種類の植物をともに育てる農法をアグロフォレストリーと言うそうです。
コーヒー農園は山の斜面一角、一面。こんなに広大な場所をたったの家族4人で世話しているそうです。収穫の時期にはさすがにお手伝いさんを雇うとは言っていましたが、それにしても、かなり根気のいる大変な仕事なんだろうな、と思いました。
果肉をとるための機械も見せてくれました。
最初に使っていたものは、極めてシンプルなもの。
今使っているものは3代目のもの。
形もかなり変わって、便利にはなったように見えますが、それでもまだまだ大変なんだろうな、ということは分かりました。
案内してくれたコーディッリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の代表の眞理子さんが説明してくださった農家のコーヒー豆の販売の仕方に驚きました。
どこかから受注があって育てているわけではなく、とりあえず自分たちができるだけの量を作ってみて、誰かが現金をもって買いに来るのを待っているのだそう。バイヤーに買ってもらえなかった豆は町の市場に売りに行きます。バイヤーとの契約などなく、毎年の収穫の売り先は決まっていないのが普通だそうです。
それを聞いて、私は、こんな山奥までコーヒーをわざわざ買いに来る人はいるのか、たくさん作っても全部売り切れるのか、と疑問に思いましたが、そう思う必要は全くなかったようです。見学中、アシュリンさんが途中途中の家で、「この人たちにコーヒーを飲ませたいけど、ある?」と聞いてくれていましたが、どの家ももう在庫がない様子でした。収穫前のこの時期は、すでにすべて売ってしまっているため、どこにいっても豆がないとのこと。私はそのことに単純に驚きました。コーヒーの需要が高まっていることを感じました。
案内してくださったアシュリンさんは、丁寧にコーヒーの品質を守りながら、改良しながら育てているので、いつも同じ会社にいい値段で買ってもらっているそう。毎年毎年の積み重ねで、どんどんとよいコーヒーになっていくのだと思います、そこには並々ならぬ苦労と努力があるのだと思います。
それゆえ、クオリティのわかる人にちゃんと売りたいとおっしゃっていました。
誇りをもってコーヒーをつくっているんだなと強く感じました。
彼女のことは、この間、フィリピンのある雑誌でも紹介されたそうです。
そんなアシュリンさんのコーヒーをぜひ一度、味わってみたいです。
見学に来たアメリカのコーヒー屋さんはこちら
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