山本博文の北ルソン・コーヒー探訪記⑳

おわりに

 

 あっという間の2年間でした。

 自分でも驚くほど、良き人に恵まれ、反町さんをはじめ感謝感激、ありがとうございます。

 フィリピンでの生活は、今までにないほど喜怒哀楽の感情をフルに使ったと思います。

 そういった意味ではコーヒー栽培の勉強に来たというよりは、自身の人格を磨く2年間だったようにも思います。予想以上にフィリピン人とのコミュニケーションは苦労の連続で、まだまだだなぁと感じています。きっちりしぃのぼくが「まぁ・・・いっか」とある種の開き直りに似た感覚を手に入れたのは、良い収穫です。

 また、たったの2年間ではありましたが、期待以上にやりたいことがたくさんできました。

 フィリピン農業省、技術産業省といった省庁と関わりながらコーヒーのプロジェクトにの臨めたり、CGNの皆さんと一緒にコーヒー事業に取り組めたり、大学内のコーヒー研究の一端に携わることができたり、フィリピン国内から世界へ、素晴らしいバリスタを生み出す瞬間に立ち会えたり、ハンドブックの出版ができたり等々、他にもたーくさんありますが、とにかくコーヒー色に染まった2年間でした。

もともとコーヒーが好きでしたから、ある意味、自然な流れではあります。

 

 コーヒー屋さんの雰囲気が好きになって、コーヒーの味が好きになって、自分でコーヒーを抽出したり、焙煎したりしたくなって、そして、コーヒーのことをもっと知りたくなって・・・いつの間にか、コーヒーの木そのものに興味が出てきて、コーヒー産地へ行こうと思いきたわけです。

 そして、この2年間、実験と実践の連続でした。

そんな中、いつの間にか当初の目的からちょっとした方向転換があったように思います。それもごく自然に。

 それは、コーヒー農家の人たちともっと関わっていたいということです。コーヒーそのものよりも、それを通して、農家さんと関わることができる喜びの方が大きくなっていたと思います。農家とともに、自分自身がもっと成長できるのではないかという、好機の予感です。実際に彼らから、多くのことを学び、そして、多くの問題点を発見しました。今後は、彼らと関わりながら、人種を超えて、宗教を超えた対話を繰り広げていこうと思います。

 もちろん日本人として。

 日本人。このアイデンティティは、この2年間でとても強くなったと思います。きっとそれは、ぼくがフィリピンに行くまでに、いらっしゃる、また、いらっしゃった日本人たちが築き上げてきた目に見えない、大きな財産なんだと思います。

 日本はすごい、日本人はすごいんだ。と心の底から思っているフィリピン人がたくさんいたことが、ぼくに再度、日本人としてのアイデンティティを奮い起こしてくれたと思います。

 とりあえずの2年間は終了ですが、これからもフィリピンのコーヒーとは付き合うことになりそうです。もっと品質を上げて、自身を磨いてさらに、前へ前へと進んでいこうと思います。

 ブログもその時には逐一、ご報告いたします。

 再応、フィリピンで出会い、交流を持てた皆様に感謝申し上げ、20回にわたるブログを一時終了といたします。

 ありがとうございました。