自己紹介がまだでした
そういえば、ちゃんとした自己紹介を忘れてました。現在29歳。三十路手前の男子です。大学時分にコーヒーが好きになり、卒業論文を「喫茶店の機能とその歴史的変遷」なんていう、タイトルで提出したほどです。名前負けした内容はともかく、卒業はできました。その後、広告代理店を経てコーヒーの生豆を扱う会社へ、働いているうちに、コーヒーの栽培に関してもっと知りたいなぁと感じてきたため、現在コーヒーの栽培の勉強をしているわけです。フィリピンで。ただのコーヒーオタクです。どうぞよろしくお願いいたします。
現在いるベンゲット州ラ・トリニダッドの大学で2年間のアグロフォレストリーのコースを受けながら、コーヒーの勉強をしています。この大学ではアラビカ種の研究が日進月歩なされており、研究用のコーヒー・プランテーションもあります。ボクとしてはとっても魅力的な場所です。定期的にそのコーヒー・プランテーションへ行って、自分なりにコーヒーの生育状況を観察・計測しています。例えば、品種別に葉の形状等が違うので、その違いを記録したり、コーヒーの木を切った後に生えてくる新芽の成長過程を測定したりしています。まぁ毎日楽しく過ごしています。
現在フィリピンでは、4種類のコーヒーが栽培されています。アラビカ種、カネフォラ種、リベリカ種、エクセルサ種です。アラビカ種は、レギュラーコーヒー向け、カネフォラ種はインスタントコーヒー向け、リベリカとエクセルサは両者に使用される事もありますが、基本的には生産国で消費され、日本で出回っている事は稀です。世界的にも生産量は低いです。まぁそれだけニーズが少ないという事です。生産量は、全部の種類をすべてひっくるめて、約30,000トン。この国のコーヒー消費量は、約70,000トン。…全然足りていません。なので、隣国のインドネシアやベトナムから輸入しています。半分以上輸入しちゃってます。本末転倒ど真ん中です。ちなみに日本の消費量は数年前の数字になりますが、約459,000トン(正確ではありませんが)。消費量はかなり上位です。4位とか5位とか。
さて、生産国でありながら、輸入しなければならないという、なんとも滑稽な状況でありまして、他にもさまざまな支障があったりします。コーヒーの相場に無関係な値付けしていたり(通常のコーヒーの2〜3倍の値段)、適切なコーヒーの栽培方法が行われていなかったり…。問題山積みの、なんとも魅力的な国なのです。中米や南米のように、コーヒー生産のプロフェッショナルな国よりも、ボクにとっては勉強のやり甲斐があるというものです。
さてさて、現在ボクが大学で勉強しているガクモンは先ほどもお伝えした通り、農学部の「アグロフォレストリー」という分野です。どう訳したらいいでしょうか、農林学とかそんな感じですかね。グーグルに聞いてみると、「混農林業学」とかそんなネーミングらしいです。なんせ、ワタクシ、フィリピンに来るまで、農業や農学に手を出した事がゴザイマセン。結構な振り幅で転換しています。まぁコーヒーという部分でぶれてないので、大目に見てください。
とにかく、アグロフォレストリー。簡単に言うと、環境も守りながら、農業活動を行っていこうね、というものです。環境保全が注目されている現代において、この考え方はとっても大切です。大型プランテーションなんかだと、農薬や化学肥料をバンバン使っているために、土壌が痩せていってしまいます。このアグロフォレストリーという考え方では、できるだけ農薬や化学肥料を使用せずに栽培をおこないます。土壌の保水力をたくさん木を植えて高めたり、いろいろな作物を植えて病虫害が一気に広まるのを防いだり、家畜と一緒に育てる事によって、雑草は家畜へ、家畜のウンチは堆肥へという循環ができ、自然に優しい肥料を作り出す事ができたり、まぁいろいろとメリットがあるシステムなのです。
コーヒー栽培に関しても、このシステムが採用されており、フィリピンだけでなく、他の生産国でも一部の農家の方々が採用しています。フィリピンにおいては、ほとんどの農家の方がこの考えのもと、栽培を行っておりまして、例えば、松林の中にコーヒーを栽培し、それとともに、バナナ、みかん、ショウガ、ハヤトウリを植えたり、コーヒーの木が吸収する栄養分を補給するために、落ち葉がたくさん出る木を近くに植えたりしています(落ち葉が土壌のバクテリア等に依って分解されて、土壌中に栄養を与えてくれます)。ちなみに、この木を植える事は、栄養補給だけでなく、コーヒーに日陰を作ってくれるため、過度の温度上昇をさける事ができ、適度な環境温度を一定に保ってくれたりします。シェードツリーっていいます。
それぞれの地域によって、コーヒーを一緒に栽培しているものが異なったりするので、今後はこういったことも紹介していこうと思います。
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