山本博文の北ルソン・コーヒー探訪記⑫

12万本の種まき!

 CGNさんのプロジェクトでもそうですが、コーヒー栽培において、コーヒーの苗場の確保はとっても大切な事です。最初は、ある程度育ったコーヒーの苗木を購入して、自分の土地にインストールする事は可能ですが、農地拡大の度に購入していたのでは、お金がもったいないですし、老朽化したコーヒーを若いものに変更するときにいちいち購入していては、手間がかかって仕方ありません。苗場があれば、いざというときに使用できますし、費用も安く済みます。また、クオリティの高いものを生産すれば、販売して利益を得る事も出来ます。とっても重要なことの一つなのです。

 

 今回は、最近、大学内で作った苗場を説明しつつ、写真を紹介します。

 フィリピンの農業省から120,000本の苗木の注文が大学へありました。品種は、ブルボン種。早速、苗場を作り始めました。いろいろと方法はあるのですが、今回採用した方法は、土を耕して、畝を作り、そこにコーヒーの種を蒔く方法。他に、地面から腰の高さぐらいまで上げた台の上に土を用意してそこに種をまいていく方法、ビニールのポットに土とともにそのまま種を蒔く方法などがあります。ボクのいる地域は、比較的痩せた土壌なので、肥料を必要とします。一度耕した土に、肥料とpHを改善するためのライムを蒔いて、混ぜ合わせます。そして、畝を作り上げていきます。ここまで、すべてクワでおこないます。めちゃくちゃ大変です。特に畝を作り上げる行程。あれは、もうほんと技術ですね。他のスタッフの人は軽々とやってのけるのですが、なかなかそうもいきません。やってみないと分からないものです。

 畝が出来上がったら、今度はその畝に細長い棒で種を並べるための溝をつけていきます。間隔は2、3センチといったところです。そこへ、種を並べていくわけですが、この種もある程度選別をしたものを使用します。120,000本の注文ですから、少なくとも12万個の種を用意しないといけません。これもこれで、骨が折れる仕事です。

 

さて、種の並べ方は写真のように並べていきます。向きはフラットな面を下にした方が良いという事ですが、実際はあまり関係がありません。そんなことよりも、写真でみて分かる通り、手で一つ一つ並べていく訳です。12万個以上…。いやいや、21世紀や、オートメーションでいこうや!とか心の中で思いながら。スタッフさんと和気あいあいと並べに並べました。並べ終わったら、その上から土をかぶせて、雨と太陽が直接表面に当たるのを防ぐために、マルチングとよばれる植物の葉やパーチメントの破片をかぶせます。今回は、シダ植物を使用しました。これで、第一段階終了。ここまでで、ざっと1ヶ月ぐらいかかってます。大変でした。

 

 

 本来は、苗場の建設の前にシェードと呼ばれる、苗木のために陰を作ってあげなければいけないのですが、材料がそろわず先に種をまいてしまいました。まぁこういった事もありです。今回はとりあえずここまで。次回続きを書きますね。では。